今月の一品

2018年5月

歌撰恋之部 物思恋

歌撰恋之部 物思恋
(かせんこいのぶ ものおもうこい)

大判錦絵
寛政5~6年(1793~1794)頃
リー・ダークスコレクション ⓒ Lee E. Dirks Collection
※2018年5月27日(日)まで特別展示「サンタフェ リー・ダークスコレクション
浮世絵最強列伝~江戸の名品勢ぞろい~」で展示中

作品解説

歌麿の作品のなかでも屈指の名作とされるもので、年齢層の異なる女たちの恋心を描いたシリーズのひとつです。この女性は眉を剃り落としているので既婚者と考えられ、着物も鼠色系統の色合わせで渋くまとめられています。
物思いにふける彼女の恋のお相手は、誰なのでしょう。家に帰ってこない浮気者の夫や、亡くなった夫でしょうか。それとも夫以外の人を思う危険な恋? 女性の妙に冷静な目つき、下がり気味の口角、そして頬杖を付くしぐさが色気と憂鬱な気分を漂わせ、鑑賞者を惹き付ける一作です。

ポイント

背景には、雲母摺(きらずり)と呼ばれる摺り表現が用いられています。雲母の粉を使うことでキラキラとした光沢が出されています。