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〈浮世絵〉コレクション

〈浮世絵〉コレクションのイメージ

浮世絵コレクションの概要

浮世絵は浦上コレクションを核として、チコチン・コレクションや寄贈品を含め、約5,500点の浮世絵版画を収蔵しています(2022年現在)。世界に3点しかない葛飾北斎の美人大首絵「風流無くてなゝくせ 遠眼鏡」や「富嶽三十六景」、歌川広重の「東海道五十三次之内」をはじめ、初期の菱川師宣から、錦絵創始期の鈴木春信、黄金時代の鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、後期浮世絵の歌川国貞、歌川国芳など、江戸時代を代表的する浮世絵師の名品を有しています。また、月岡芳年、豊原国周、楊洲周延、三代歌川広重など、幕末から明治時代に制作された作品も多数所蔵しており、世界的にも有数なコレクションとして知られています。

※その他の所蔵作品は「収蔵作品検索システム」「浮世絵研究データベース」でご覧ください。

※所蔵する浮世絵作品は普通展示で展示し、約1ヶ月おきに入れ替えています。

浮世絵とは

浮世絵は浮世(当世)の絵ということで、江戸時代から明治時代にかけて、当時の世相や風俗、流行のものを描いた作品といえます。江戸時代の文化の象徴とされた歌舞伎、吉原を題材とした役者絵と美人画が主要なジャンルです。他にも、相撲絵、風景画、武者絵、戯画、風刺画など、さまざまな題材が描かれています。作品は絵師が直接筆で描いた肉筆画とよばれる掛軸、屏風、画帖などもありますが、浮世絵が庶民芸術と称されるように、安価で最も大量に制作できる木版画を中心に、初期の墨摺絵から錦絵(多色摺木版画)へと彫摺技術の発展にそくして、色鮮やかで芸術性の高い作品も作られるようになりました。ヨーロッパの印象派の画家たちに影響を与えたことで世界的に高く評価されており、日本文化を代表する一つであります。

鑑賞のポイント

浮世絵は当時の風俗、世相、流行が描かれているため、今日では理解できない情報が多く含まれています。まずは、色鮮やかに摺られた色彩や墨線の繊細さなど、木版画の美しさを鑑賞していただけたらと思います。それから、何が描かれているのか、探していくことが、浮世絵を楽しむ方法の一つかといえます。役者絵や美人画は当時実在していた歌舞伎役者や遊女、芸者の姿が描かれており、彼らは時代の最先端をいくファッションリーダーでもありました。着物の柄や髪型、役者や美人たちの容貌も時代によって変わり、どう変化していくのかも鑑賞方法の一つでもあります。浮世絵が版行されたのは、版行すれば売れるという需要の背景があったからで、最も関心のある情報が絵の中に描かれています。

浮世絵の主な所蔵作品

葛飾北斎 風流無くてなヽくせ 遠眼鏡

葛飾北斎
(かつしかほくさい)

風流無くてなゝくせ 遠眼鏡
(ふうりゅうなくてななくせ とおめがね)

落款:可候画
大判錦絵 享和期頃
蔦屋重三郎 U105(TU)

Katsushika Hokusai Ⅰ
Seven Foibles of Young Women:The Telescope

北斎の錦絵で唯一の大判雲母摺(おおばんきらずり)の美人大首絵。婦人と娘が郊外での行楽の最中に、遠眼鏡を覗き込んでいます。「ななくせ」という表題から当初は7枚揃いの組物だったと推定されます。「可候画」の落款があり、北斎が享和年間に用いた画号、戯作号であるので、ほぼ同じ頃の作品と思われます。

喜多川歌麿 難波屋おきた

喜多川歌麿
(きたがわうたまろ)

難波屋おきた
(なにわやおきた)

落款:哥麿筆
大判錦絵 寛政5年(1793)頃
蔦屋重三郎 U45(TU)

Kitagawa Utamaro Ⅰ
Naniwa-ya Okita

白雲母摺を背景に、茶托をもって立つおきたは、浅草随身門脇の水茶屋難波屋の評判娘で、寛政5年当時は16歳でした。美人で愛敬もよく客扱いも親切だったため、多くの客が集まり、歌麿を始め多くの浮世絵師たちに描かれて人気を得ました。寛政の三美人の一人。画面の左上に短冊に狂歌を書いた版もあります。

東洲斎写楽 三世瀬川菊之丞の田辺文蔵妻おしづ

東洲斎写楽
(とうしゅうさいしゃらく)

三代目瀬川菊之丞の田辺文蔵妻おしづ
(さんだいめせがわきくのじょうのたなべぶんぞうつまおしづ)

落款:東洲齋寫樂画
大判錦絵 寛政6年(1794)
蔦屋重三郎 U2691

Toshusai Sharaku
Segawa Kikunojo Ⅲ as Tanabe Bunzo's Wife,Oshizu

寛政6年(1794)5月都座上演『花菖蒲文祿曾我(はなあやめぶんろくそが)』の田辺文蔵妻おしづと考証される作品。扮する役者の三代目瀬川菊之丞は、当時40代半ばで女形の最高位にあり生来の美貌と女らしい芸質を特色としました。この芝居は「亀山の仇討」物の一つで、父の仇を狙う三兄弟の長兄が返り討ちにあい、弟二人が辛苦の末に父と兄の仇を討ちおおせる筋。おしづは、仇討に助力する夫と共に艱苦する役で、病鉢巻を締め、手を帯に挿し入れた姿は思案の様子を感じさせます。眼と、少し開いた唇に表情があり、淡紅に紫・草色・紅の衣装と漆黒の帯の色彩が美しい。当図は殊に紫が退色せずよく残り雲母摺の背景に映えています。

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