今月の一品
2023年6月
青磁牡丹唐草文瓶
(せいじぼたんからくさもんびん)
青磁牡丹唐草文瓶中国・龍泉窯
南宋時代~元時代 13~14世紀
当館蔵(浦上敏朗氏寄贈)
2023年4月11日(火)から2023年7月23日(日)まで
東洋の美 青磁にて展示
作品解説
ラッパ状に口が開いた尊形(古銅器の尊に倣った器形)の瓶で、胴には型抜きした牡丹の花を貼り付け、細い粘土紐で蔓状にこれを連ねて唐草文を表わし、その上から美しい青磁釉が厚く施されています。わが国では俗に「浮牡丹手」と呼ばれ、この時期の龍泉窯青磁の特徴的な装飾技法となっています。元・泰定4年(1327年)の紀年銘がある同種の大形の尊形花瓶が大英博物館のデイヴィット・コレクションに知られており、元時代にかけて継続して作られていたと考えられています。ポイント
「浮牡丹手」の大形の尊形花瓶類が、わが国の禅宗寺院を中心に寺院を飾る具足として大量にもたらされ伝世しています。本作のような小形の花瓶も多く伝わっており、書院や小間の花入れとしては最適の大きさであったと思われます。